ビューア該当ページ

馬耕ウナイからウネタテ

51 ~ 52 / 766ページ
 大麦は、早稲の刈り取りが終わった九月中旬、場所によっては一〇月下旬に作付けするためのウナイが始まる。馬に馬耕を付けて、土を耕すとともに稲株を反転させて土に埋め込む。馬耕ウナイから一週間ほどして、マグワカキ(馬鍬掻き)となる。馬に馬鍬を引かせて土の塊を砕くのである。縦横二回ずつ掻いて平にする。その後、フリマンガ(振り馬鍬)で稲株をさらい出す。振り馬鍬は鉄の歯の付いた井桁状の農具で、二人の人が両側で馬鍬に付けた綱を振って作業するものである。
 このようにして地表が平になると、鍬でウネタテ(畝立て)となる。鍬は風呂(鍬の刃を付ける木製の台)の付いた鍬で古くはツルックワといわれる風呂鍬が使用されていたが、昭和一〇年頃から茨城県の水戸で作られた水戸鍬が使われるようになった。これらの鍬は鋭角に刃がついているため、腰を曲げての作業で骨が折れたが、刃が長いため能率が良かったという。この鍬で畝間一尺八寸程度に畝を立てる。この際、コテナワ(綱)を張って、直線的に畝を立てるのであるが、畝立ては夫婦二人で一日に六反歩程度の畝を立てることができた。

図39 フリマンガ(町歴史民俗資料館蔵)