一〇月上旬から一一月上旬にかけて、畝に堆肥を撒き種蒔きとなる。種は一反歩当たり五~六升ほどで、人によっては八升蒔く人もいた。その後ツチカケボウ(土掛け棒)で種の上に土を掛けて行く。種の蒔き方は、イボマキ・ザラマキ(条蒔き)・不整地マキがあり、イボマキ・条蒔きは畑によって変えられた。イボマキは、堆肥に種を混ぜて、フゴオケやフゴザルに入れて、一握りずつ置いて行くやり方で、間に作物があるときや風通しを良くしたい時に使われた。このやり方は、刈り取りの時は楽であったが、収量は少なかった。条蒔きは、一〇センチメートルほどの幅の畝に元肥を施し、その上に筋状に種を蒔いて行くやり方で、一般的に行なわれた。
不整地マキは、昭和一〇年代後半から三〇年代まで行なわれた蒔き方で、まず二畝に種を蒔いて一畝残し、また二畝蒔く方法で、これを繰り返して行く。稲刈りの後に直接肥料を撒いて、種をバラマキすることからオウヘイマキともいわれた。この後、馬耕で両側をうなう。芽が少し出始めたところで、土落しといってレーキ(刃が一列に並び柄の付いているもの)で、土を削るようにして平らにする。麦踏みはこの時期になるとローラーで行なうようになる。不整地マキは、増収につながる効率の良い蒔き方であったが、その後トラクターの登場により姿を消した。