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〔農休日としてのコト〕

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 高根沢町では、農休日のことをコト・コト日という。これは、一般的に言われている言葉である。機械がまだ普及されなかった頃は、手作業による農作業は共同作業によるヨイドリやヒョウドリで労働の効率化を図ったが、それでも一年中仕事に追われる毎日であった。現在のように土曜日・日曜日が休みではない頃には、このコト日が労働から解放される日であり、貴重な休みであった。
 このため通常のコト日とともに、ツクリゴトといって臨時的に休みをとることがあった。これは、イナホサマに代表されるように、ワカイシ(若衆)がその年の農作物の初物を区長宅に届けると、区長がコト日の触れを出した。これは、臨時的なコト日であり、稲とともにナスやキュウリなど初めてできたものを届けるのだというが、区長もあまり多くなると触れを出さずにいることが多かった。その時は、翌日も届に行ったという。当時の青年たちの行動的な姿を垣間見ることができる。
 鎮守の祭りには二日から三日休みをとったが、通常は一日か午後の半日であった。ただ、半日といっても朝仕事を終えて一〇時頃から休みとすることもあった。このため、反対にコト日に仕事をしていると、冷ややかな目で見られたものである。