六月も終わりの頃になるとたばこの花が咲き出す。花を付けたままにしておくと、養分が花に取られてしまい、葉が大きくならないため、手で一つづつ花芽を取って行く。
花摘みとともに行なう作業が脇芽カキである。葉の付け根から出でくる新芽を掻き取る作業で、脇芽は掻きとった後からもいくつも出てくるため、何度も掻き取らなければならなかった。これは、たばこ虫取りと併せて行なう作業で、たばこの葉を少しでも大きくしたいという気持ちも手伝って、長年のやりつけた作業でもあり、実に手際の良いものであった。しかし、この時期は夏の日差しが照りつけ、なるべく朝の涼しいうちから始め、午前中には切り上げるようにしたが、それでも夏の暑さで体の汗が吹き出し、たばこの葉のヤニが身体や服に付くため、畑からあがると真っ黒になっていたという。