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カンボシで乾かす

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 たばこの乾燥は、現在ではレンボシ(連干し)が一般的となっているが、明治期から戦前頃まではキヅリ・キガケともいわれるカンボシ・ミキボシ(幹干し)がほとんどであった。
 幹干しの方法は、土葉と土中を取り除いた後、草刈鎌で茎の下を切り、それを、家の梁の上か雨屋に吊す。吊す方法は、たばこの茎に竹釘を刺し、それを真竹か縄に二〇センチメートル間隔で吊して行く。乾燥の目安は、茎がイモガラ状態になり、葉が褐色になるまでで、概ね九月中旬頃まで吊した。その間、葉が乾燥してくると、葉に付いているたばこ虫や虫の糞がパラパラと落ちてきたものである。その後、葉を茎から取り、タバコノシの作業に入るのである。
 なお、幹干しにするために取り除かれた土葉と土中は、連干しにして乾燥させた。
 しかし、戦後になると火力乾燥が導入され、連干しで葉を乾燥するようになる。幹干しは、連干しよりも徐々に乾燥するため二~三割減収であったが、品質が良く、労力が省けたため連干しよりも多くの家で行なわれた。このため、雨屋は三段に幹干しできるよう、高い雨屋が多かった。