九月末頃になると、ヨワリ(夜なべ)でタバコノシが始まる。また、雨の日などもタバコノシとなった。タバコノシは、葉を広げて束ねる作業で、家の土間か乾燥小屋に筵を敷いて行なわれた。葉の茎の部分を持つのがモトトリ(元取り)といい、葉の先を持つのがサキトリ(先取り)といわれた。また、モトノシとウラノシとも言う。元取りは大人が、先取りは子どもが担当した。子どもは小学校四・五年生から手伝うようになる。たばこ縄から葉を外し、その後元取りと先取りは向かい合って、元取りである大人が茎から元の部をまず揃え、伸ばして押さえる。子どもは葉の先を伸ばすのが役割である。三〇枚づつに束ね、藁で元(茎)を縛った。等級に合わせて選別しながら束ねたが、葉にシミなどが付いていると手でむしり取ったという。
昭和三六年頃からタバコノシは行なわれなくなり、子どもたちはねむい目をこすりながらの仕事から解放された。なお、伸ばさない葉をシボリバ(しぼり葉)といった。