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チョウリと納付

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 たばこの葉は、それぞれ等級に分けられ選別され、それをチョウリ(調理)といった。等級としては、最も良いのを優等とし、以下一等級から八等級まで分けられた。葉の色艶と肌ざわり、それに乾燥状態を見て選別された。中葉・相中・本葉のところが等級的には良く、土葉・天葉は等級が低かったという。分けられた葉は、仮積みされ、量がたまると本積みされる。束ねられた葉は、六〇センチメートル×九〇センチメートル×高さ一二〇センチメートルの木箱に順に並べて行きながら梱包して行く。木枠には縄を二本ずつ縦横に通し、その上に細長い茶紙を敷く。その中に三〇枚づつ数えられた葉を藁で縛り、束になった葉を交互に並べて、木枠の中の葉がいっぱいになると、木箱を外して正味二八キログラムの基準量の葉たばことなり、敷いた茶紙を被せて縄で縛った。紙が使われる前は筵を下と上に当てて縛った。
 専売所への納付は、時代により回数が異なり、一一月から一月にかけて戦後は二~三回ほどあり、仁井田に運んだが、それ以前は喜連川まで納付しに行った。中葉までが一回目に納付し、二回目は相中、三回目は本葉・天葉を納付した。納付日には、朝早く荷車に積んで専売所まで運んだが、多くの面積を作付けしている農家では、馬車引きを頼んで運ばせたという。納付の際、葉が湿っていると返されてしまい、決められた日に再び運ばなければならず、家で待つ者にとっては、無事帰って来るまで心配であったという。帰って来ると「お帰りなって良かった」と言って労をねぎらったという。専売所では、農家から運ばれて葉たばこを、その場で検査し等級をつけて現金で買い取った。農家の人たちはその金で、シャツやモモヒキなどの服や食べ物などを買って、家への土産とした。このため、仁井田の専売所周辺は、納付の日には露店なども出て通り沿いは賑やかなものであった。なお、平成一四年現在で納付は年に一回だけである。

図49 葉たばこを梱包する時の枠(亀梨 鈴木家蔵)


表3 鈴木家における煙草生産状況(明治35年~大正10年)