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養蚕信仰

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 一月一四日の小正月には、マユダマといわれる行事が行われる。米の粉で作ったダンゴを繭の形や里芋の形に見立てて、ミズノ木や樫の木、ウツギの木に刺して、それぞれ戸口や神棚・カマドの神様に供え、作物の豊作とともに、繭の豊産を祈った。この後、トリゴヤを燃やした火でマユダマダンゴをあぶり食べた。
 また、蚕の成長を願って代表の人が代参して、茨城県瓜連町の静神社へお参りして、お札を受けて養蚕農家へ配った。
 中阿久津の御幸坂の途中には、昭和五年に建てられた蠶影神社の記念碑がある。
そこには、「(表)蠶影神社 (裹)中東 菊地市三郎 菊地清吉 野中清作 野中定光 野中祥作 足利寅吉 阿久津国一 見目清次  中西 野中猪之助 野中貞寿 野中啓吉 赤羽良作 野中磯吉  中台 見目粂八 小林清次 村上博吉  宝積寺 益田伊六 中野初太郎 土屋熊吉  世話人 菊地市三郎 赤羽良作 野中猪之助」の名が記されている。中阿久津において、多くの人々が養蚕に携わっていたことが分かる。それとともに、養蚕にまつわる神社の碑を建立し蚕の安全と豊産を祈願したのである。

図53 蠶影神社の記念碑(中阿久津)