梨の品種は、大きく分けて果皮の色で赤梨と青梨に分けられる。また、収穫時期により稲と同じように早生・中生・晩生に区分される。昭和三〇年代には、数多くの品種を栽培し、早生梨では「新水」〈極早生・青梨〉・「巾着」・「市原」・「八雲」〈青梨〉・「石井早生」・「早生幸蔵」〈幸水・豊水の親〉・「新世紀」〈青梨〉があった。「巾着」は古く大正期から栽培されていた品種である。「早生幸蔵」は昭和二〇年代後半から、青梨の「新水」・「新世紀」は昭和三〇年代に入って作られるようになる。
中生梨には「雲井」・「長十郎」・「菊水」〈青梨〉・「二十世紀」〈青梨〉・「酔星」があった。「長十郎」は古くから作られた品種で、梨の代名詞となったほどであったが、甘味はあっても実が硬いため人気がなくなり、昭和四〇年代以降次第に「幸水」に変わっていった。また、青梨の「二十世紀」は人気の品種であったが、黒星病にかかりやすく作りづらいため、栽培面積は少なかった。なお、「二十世紀」の本場は福島県・長野県であった。晩生梨は、「早生赤」「三吉」・「昭和」で、いずれも赤梨であった。
現在は、「幸水」〈早生〉・「豊水」〈中生〉・「日光梨」〈晩生〉を栽培している。いずれも赤梨で、青梨は生産されていない。「幸水」「豊水」は、昭和四〇年代に導入され、「日光梨」はつい最近のものである。
なお、花合わせといわれる人工受粉は、組合で受粉樹の開花前の花を摘んで来て、温度を上げて開花させ、それをフルイでふるって花粉を取る。