男子の余所行きの多くは紋付きの羽織、絹の細い縞または仙台平の袴という礼装で、黒の羽二重などで仕立てたものである。大島紬やお召し、銘仙なども余所行きの一つで上等なものであった。夏物では絽の長着や麻地の白絣の浴衣などがあった。
女子は紋が付いた江戸褄が最も格が高く、婚礼衣装でもあった。次に格の高いものが、絹、紬、銘仙、メリンス、カタツキと呼ばれた模様のある着物で、嫁入りの時に持参したものが多かった。また、正月には木綿の袷の長着、夏には祭りに着る浴衣などを新調した。
図5 夏のヨソユキ(大谷 阿久津次大氏提供、大正時代)