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産着

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 子どもが産まれると、背に縫いしろがない一つ身の肌着を着せた。ジバンともいい、夏は晒木綿、冬はネルで仕立て、男の子は紺色、女の子は赤色の麻の葉模様が多かった。麻の葉は麻のように丈夫な子に成長するようにという願いがこめられ、子どもの着物の模様に広く用いられた。冬はジバンの上に綿入れの胴衣を着せることもあった。
 出産に関する衣類は親元から送られるものが多かった。オムツやジバンのほか、宮参り用の産着、帽子、よだれかけ、敷き布団、掛け布団、夜着を小さくしたコヨギ(小夜着)、子どもをおぶう時のおぶい紐と冬に羽織る綿入れのネンネコバンテンまたは亀の子半纏などが送られてきた。ネンネコバンテンは袖がついたもの、亀の子は袖がついてないもので、亀の子半纏のほうが作業をするときには両腕が使えて便利だった。
 宮参り用の産着は一つ身で、男の子の場合は黒の紋付きの襲、女の子は、縮緬や綸子の襲、金紗などがあった。家によっては乳母車、ベビーカーやベビーダンスなども出産祝いに実家から送られることもあった。