衣類の管理は女たちに任せられた仕事の一つである。よそゆきの着物類は防虫剤が普及していなかったころは土用干しといって七月の中頃に、着物を広げて部屋や廊下につるし、風通しをしてスムシなどの害虫を防いだ。
既製の衣料品や布がまだ高級品だった頃、仕立てた着物やヤマッキは大切に扱われ、幾度も洗濯し布地が弱くなったヤマッキにはあて布をしたり、接ぎをあてたり、糸で補強したりしてぼろぼろになるまで着用した。接ぎあては、ヨワリ(夜なべ仕事のこと)の仕事でもあり、女たちに伝えられてきた裁縫技術の一つであった。
消費が美徳といわれる時代になると、接ぎをあてたものや接ぎあてをする程長く着用した衣類は処分されることが多くなり、女たちのこうした生活の知恵や工夫も廃れてしまった。