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〔被り物〕

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 農作業をするときには、日射しや汗、風を避けるために手ぬぐいが重宝した。手ぬぐいは被り物の中でも小さくたたむことができ、吸湿性に富み、暖かく、扱いやすかった。
 男子は鉢巻きにしたり、寒いときには頬被りをした。女子は頭髪の埃除けのために後ろで結ぶアネサンカブリをした。脱穀作業などでは男女とも頬被りをして、稲や麦ののげや埃から頭部を守った。
 昭和二〇年代頃まで、雨天の時には菅笠をかぶった。笠は近くの店で売っているものをかぶった。菅笠は菅を編んだもので、軽くて、笠の直径が大きいため、日射しを避け、雨に濡れることも少なく重宝された。しかし戦後まもなく、機械で大量生産された麦わら帽子が安価に手に入るようになると、菅笠に代わって、男女の被り物として普及していった。

図13 手ぬぐいのアネサンカブリ(太田)