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麦飯

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 米に麦などの雑穀や野菜を混ぜて炊いた飯を総称して糧飯といった。米は貴重なもので、白米のみを炊く白米飯は特別な時の食べものであった。糧飯は他の材料を加えることで米が少なくてもたくさんの量を食べることができた。なかでも主食としてもっとも多く食されていたのはムギメシ(麦飯)であった。麦飯は大麦を加工し米に混ぜて炊いたもので、ムギハンともいった。普通は、大麦を平たくつぶした押し麦が用いられ、また、イスス(石臼)でひいたヒキワリ麦、まれに丸麦のままよく煮てさらしたイマシ麦も用いられた。麦と米の割合は、半分ずつか、米がやや多かったという。イマシ麦の麦飯は、うるち米をよく洗って水気を切り、そこにイマシ麦を混ぜて炊いた。大麦をよく煮ることをイマすといい、丸麦は煮えるのに米よりも時間がかかるため、数日分をまとめて煮ておいたものであった。その後、押し麦を用いるようになると、米と一緒に炊けるようになった。麦飯には麦の他にサツマイモや里芋を混ぜて炊くこともあった。山芋がとれたときは、とろろ飯にした。すりおろした山芋をすり鉢ですり、濃い目の冷たい味噌汁でのばして、麦飯にかけて食べた。「麦飯とろろ一八杯」といい、いくらでも食べられた。