うどんやそばは、コトビや米が少ない時などによく食べた。晩の食事にすることが多かった。うどんは、製粉所で製造販売しており、小麦を持っていくと、小麦に見合うだけのうどんと交換することができた。そばは自家製だったが、特に小麦の収穫直後の夏から盆の時期にはうどんをよく食べた。うどんもそばも季節を問わず、野菜をたくさん入れた温かいケンチン汁で食べた。具はゴボウ、大根、人参、白菜、あれば油揚げ、豆腐も入れた。うどんは、夏はみょうがやにらの味噌汁や、なすや南京豆を入れた醤油味の汁、ちたけとなすのちたけうどんなどにし、冬は醤油味の煮込みにした。そばは秋に収穫したそばの実を用いた。そばひきとそばぶちは女性の仕事で、石臼で粉に挽いて手打ちした。そばの作り方は、そば粉と小麦粉を半量ずつ人肌くらいの温度の湯で捏ねる。捏ねたそばを麺打ち台の上で、麺棒で均等に薄く伸し、細く切る。捏ねるときの湯量の加減や、厚さを均等に伸すのは難しく経験が必要であった。釜に湯を沸かし、そばが切れないように注意しながら茹でる。煮えたそばはショウギであげて、水を二回取り替えてさらし、アゲザル(あげ笊)に一つかみずつあげ、水を切った。そばは大晦日の年越しそばや鎮守の祭りなどの時に食べた。鶏肉を入れたトリジル(鶏汁)はご馳走だった。普段に食べる時は、野菜などを足して量を増やして食べた。夏はニラを一緒にさっと茹でるニラそば、秋冬はせん突きで突いた大根を茹でたてのそばに混ぜ温かいつけ汁で食べた。
主食が少し足りないようなときには、そば粉でソバカキを作った。どんぶりにそば粉を入れ熱湯を少しずつ加えてかき混ぜ、醤油をつけて食べた。スイトンは小麦粉を水で溶いて、ジャガ芋やネギなどと味噌や醤油の汁で煮る団子汁で冬に食べることが多かった。