日々の副食の中心となるのは野菜であった。季節ごとの新鮮な野菜は、自家の畑で採れたものが多かった。野菜は煮物や炒め物などの料理や、漬物、干物などの保存食品に加工して利用した。春は油菜などの菜っ葉類が収穫でき、お浸しや胡麻和えなどにした。夏野菜にはジャガ芋、キュウリ、ナス、インゲン、カボチャ、夕顔などがあり、汁の実や味噌炒め、煮物にした。秋野菜には、大根、人参、白菜、ゴボウ、里芋、サツマイモなどがあり、大根や白菜などは冬に備えて漬物にした。夕顔は、果肉を油いためにするとともに、果肉をうすくひいてから干して干ぴょうにした。
トウザヅケ(当座漬け)は、保存を目的としない漬物で、夏はナスやシソの実、キュウリ、秋と冬は、白菜や大根を塩で揉んだもので、材料を細かく刻めば、早くて二〇分ほどで食べることができた。