農家などでは、正月準備として暮れに豆腐作りをした。一昼夜水に浸した大豆を、ハンギリ桶に板を渡した上に粉挽き用の石臼を置いて挽く。このとき出た汁を釜でよく煮て麻袋に入れる。この麻袋を樽に渡した板の上で重しをして絞る。この時袋の中に残るのがオカラである。樽の中にたまった絞り汁にニガリを加え、ゆっくりとかき回す。少し固まってきたら、豆腐箱に移し、落し蓋と重しをして水を切る。固まったら一丁ずつ切り分ける。できた豆腐はハンギリ桶に水を張り冷やしておいた。一度に一二丁作れる豆腐箱では、大豆二升を使用した。正月には年始客に豆腐汁を振舞った。
普段豆腐を食べるときには、豆腐屋が時々売りに来たのを購入した。豆腐屋からは、豆腐、厚揚げ、油揚げ、凍豆腐、こんにゃくなどを買った。