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餅つき

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 もち米の餅をつく場合、前の晩から水に浸しておいたもち米をセイロで蒸す。釜に湯を沸かし、カケンと呼ばれる麻布を敷いたセイロにもち米を入れて、蓋をして蒸し上げる。セイロは木製で、曲げ物と指物のものがあり、大量に蒸す場合は、何段にも重ねて蒸すことができる指物のセイロを使う。重ねて蒸す場合は、火に近い下段のもち米のほうが先に蒸かしあがるので、下段からつき始める。
 餅つきは、臼と杵を用いて行われる。杵を持つつき手と介添えのコネドリで行なうが、つき手は力のある男性が、コネドリは女性が行なうことが多い。つき手の人数が一人づき、二人づきと増えるに従って短時間で早くつけるが、現在は一人づきが多い。餅を数えるときは、一回につく量をヒトウス(一臼)と数える。コネドリは均等につけるように途中で餅をひっくり返したり、水を打ったりする。まず臼の内側に餅が付かないようにお湯で少し湿らせておき、臼に蒸したてのもち米を入れる。最初はもち米が飛びはねないように、つき手が杵の先で米を静かに押しつぶす。餅状にまとまってきたら、コネドリが手で臼の中央にまとめ、つき手は杵を振り下ろすようにしてつき始める。途中何回か餅を返し、まんべんなくつく。つきあがった餅は、餅とり粉をまぶした伸し板にのせてたいらに伸したり、丸めたりする。餅とり粉は、現在は片栗粉を使用しているが、昔は水に浸したうるち米をひいたものを使用したという。

図20 餅つき(大谷)