産前産後は妊産婦の体を気づかい、食べものには多くの禁忌があった。妊娠中は体が冷えるので柿を食べてはいけない、ウサギの肉は食べてはいけないなどといわれた。
出産後、七日間は紙に塩を包んで水をかけてイロリで焼いた焼き塩か梅干と白米のお粥などを食べた。三日目からは干瓢汁や削り節に味噌を和えたケズリッコ、イワシの缶詰なども食べることができた。また、三日目は三日目ボタモチといい、乳の出がよくなるようにとボタモチを食べた。また、コイを食べるのもよいといわれた。ナシは血を荒らすといって産後も食べず、辛いものや塩気の多いものも食べてはいけないとされた。産後七〇日間は油ものを食べてはいけない、食べれば赤子の目に障るといわれたという。