葬式の料理は、親椀に白米飯、汁椀に賽の目切りの豆腐とカンピョウの味噌汁、皿にこんにゃくと人参の白和え、平にがんもどきの煮付け、ツボに南京豆の煮物または饅頭の膳と、ほかにたくわん、大根と人参のなますが出された。食器は黒漆塗りの高足膳が用いられた。組内の人々が通夜から手伝いに来るので、大根や里芋の煮しめやけんちん汁を大量に作った。葬式では、来た人順に膳が用意され、茶の間などで食べた。死者の枕元には枕飯と枕団子を置いた。枕団子は死者が生前使用していた飯茶碗一杯分の米粉で作った六つの団子でオムツラ団子ともいった。団子をゆでた鍋は、一週間は使ってはいけないと言われた。枕飯は家族が食べるのと一緒に炊いて、死者が生前使用していた茶碗に山盛りにし、そこに生前使用していた箸を二本突き立てた。葬式の団子はたくさん作るものだといわれ、重箱に入れて墓に持って行き、夜に行われる十三仏の念仏の後に食べた。初盆では団子を作り供えた。