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醤油

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 春先、小麦の収穫が終わると、醤油搾りが行われた。醤油は、農家では毎年家で作ることが多かった。醤油は、材料だけ自家で用意し、醤油搾りの職人を呼んで搾ってもらった。醤油搾りの職人は、その季節になると、地域をまわって醤油搾りをした。太田では、南那須町鴻野山や芳賀町八ツ木、市貝町から、桑窪では、福島県会津からやってきた職人が、家々をまわって醤油を搾ったという。亀梨では、商売人ではないが醤油搾りができる人が地元にいて、近所の家々の醤油搾りをした。
 醤油は、大豆を煮て小麦麹と混ぜ、塩水を加えてモロミ(諸味)にし、樽に入れ、一年間寝かせ熟成させた。亀梨の農家では、小麦を炒って挽き、挽いた大豆と混ぜてハッショウダル(八升樽)に仕込んだという。寝かせている間も毎日まんべんなくかき混ぜ、熟成したところで諸味を搾った。この液体を煮て、色付けにカラメルを加えたものが醤油である。
 購入する場合は、樽入り、後年には一升瓶になった。なお、醤油の代わりとして、味噌を仕込んだときに生じるタマリも使われた。醤油は味噌にくらべて醸造が難しく、手間がかかるため、貴重な調味料とされ、普段の料理よりも人寄せのときの料理に使われることが多かった。