高根沢町の場合、今回の町史編さん事業に伴う調査では、三間取り型の民家は確認することができなかった。つまり、現存する民家は、大半が四間取り型、あるいはその発展型といえる。
ところで、栃木県内に見られる四間取り型には、イロリを構えたひときわ広い広間と、この部屋を取り巻くように納戸、上・下の座敷の四間からなる広間型四間取りと、ほぼ同じ大きさの広間、イロリを構えた茶の間、座敷、納戸の四間からなる整形四間取りとがある(図50)。なお、整形四間取りは、漢字の「田」の字の形をすることから田の字型間取りともいわれる。広間型四間取りは東北型間取りともいわれ東北地方に典型的に見られる間取り型であり、栃木県内では県北地方に多く見られ、反対に整形四間取りは西南日本型間取りともいわれ西南日本に典型的に見られる間取りといわれ、栃木県内では県南地方に多く見られる。高根沢町を始め栃木県の中央部一帯は、この東北型の広間型四間取りと西南日本型の整形四間取りとが交じり合う所となっている。
図50 間取りの変遷