商売の神様を祭るエビスコウ(恵比須講)は、春と秋の二回行われるが宝積寺では旧一〇月二〇日のみ行われた。恵比須・大黒の像を一升枡の中に入れるか、枡を逆さまにして台の代わりにして飾った。お膳はエビス膳といって膳の木目を縦にして置き、その上に尾頭付きのサンマを載せ、サトイモ・ダイコン・ニンジン・こんにゃく・ゴボウ・豆腐をきざんで、油で炒め醤油で味つけをしたケンチン汁を作って供えた。この日は、肥料屋にとっては年に一度の集金日で、肥料代を払いに来る農家の人たちには、半纏や前掛けまたはサケの塩引きをお土産に、酒を振舞ったという。
また、若者の楽しみは、宇都宮へ映画を見に行くことで、バンバ(馬場)には帝国館・花屋敷・電気館の三館があった。
(金井忠夫)