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分家の形態

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 血縁分家の形態は、相続がどのような形態をとるかによって異なる。前項の相続でも述べたように、高根沢町では明治期頃まで姉家督相続、すなわち長子(長女)が家督を相続するということが行われていた。この姉家督相続の場合は、長女以外の者、主として長男が分家にだされた。しかし、姉が中継ぎ相続の形態をとった場合には、長男に家督を譲った後、姉が分家した。
 大正期以後、長男相続が一般化すると、分家に出される者は長男以外の男子が分家に出された。といっても全ての男子を分家に出すことは出来ず、一人ないしは二人である。分家にだされる者は、成人後もイエにいて農作業の担い手となり、長くイエのために働き、将来は農業を営みたいと希望する者が分家に出されることが多かった。また、バッチセガレ(末男)を新宅に出す傾向もあった。

図22 子守をする女の子(大谷、阿久津次大氏提供)


図23 中阿久津N家の本宅・新宅関係―姉家督、婿養子、養子の例―


図24 宝積寺駅前A家の本宅・新宅関係―姉が新宅に出た例―