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〔相互扶助〕

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 農作業をはじめ、生産・生業全般が人力や畜力によって行われ、また、結婚式場や葬儀場などが出現する前は、農作業でも結婚式・葬式でも、近隣の者や親戚の者などの相互扶助なしには成り立たなかった。また、イエ同志ではこうした相互扶助が円滑に進むように、日頃から何か事があると感謝や悔やみの気持ちを表わした贈りものをしたり、また、そうした贈り物を受けたイエでは何らかの返礼をしたりする。こうした相互扶助や贈答は、いわばムラ社会で生きるためには避けて通れない「付合い」でもあり、したがって付合いを欠くと「不義理をした」とか、「義理を欠いた」「付合いが悪い」などと蔑まされた。
 相互扶助には、テツダイ(手伝い)やヨイドリと称されるものがある。このうち手伝いは、近いうちに返礼が得られることを期待しないものであり、これに対して、近いうちに必ず同等の労力で返礼するものをヨイドリと称した。