初めての子供や長男の場合、贈る側は誕生・初正月・初節供とも、近い親戚はもとより遠い親戚までもが意識して祝いの金や品物を贈った。特に嫁や婿の実家では気を遣って、誕生の際には祝い金の他に綿入れやネルのネンネコ半纏や、産着、ヨダレ掛けなどを贈った。裕福なイエでは、これらの他に子供の衣類を入れるベビー箪笥を贈ることもある。初正月には、男女児ともに掛軸を贈ることが多い。この掛軸は破魔弓ともいわれ、男児の場合は武者、女児の場合はかわいい女の子が描かれてあった。贈られたイエでは、これらの掛軸を茶の間や座敷などへいっぱい掛けた。初節供の場合、男児には鯉幟や武者絵幟あるいは武者人形を、女児には雛人形を贈る。
こうした金品を贈られたイエでは、何らかなお返しをするのが常であるが、初節供には男児の場合は柏餅を、女児の場合は草餅を重箱に入れて返した。特に嫁の実家には節供の翌日に嫁が里帰りがてらお返しをした。