星宮神社は星を神格化して祭る神社である。栃木県には虚空蔵菩薩を祭った星宮神社が多く、虚空蔵さまと呼ばれている。虚空蔵菩薩の使いがウナギなので、氏子はウナギを取らないし、食べないという。星宮神社に願をかけて成就した礼にウナギを川に放つこともあった。栃木県の星宮信仰には日光修験が関与している。勝道上人は、金星に縁のある「虚空蔵求聞持法」という密教行法によって修行し、虚空蔵菩薩すなわち星の神の示現に出会ったとされる。そのため、日光の周辺の村落には虚空蔵菩薩が星宮として祭られた。栃木県内では、上都賀郡・下都賀郡・河内郡・塩谷郡・芳賀郡に特に多く分布している。明治初期の神仏分離によって、虚空蔵菩薩を祭神とすることは廃止され、磐裂神・根裂神を祭神とするようになり、開拓の神、作神とされた。
図1 星宮神社の本地仏虚空蔵菩薩(花岡)