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稲荷神と初午

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 稲荷神は稲を象徴する神であり、その名は「稲生」に由来するといわれる。稲荷神は稲をはじめとする五穀豊穣をつかさどる農耕神であるとともに、商売繁盛・開運出世にもご利益があるといい、全国各地で祭られる。稲荷神社はムラで祭られるとともに家々の屋敷神であるウジガミ(氏神)としても祭られる。各地の稲荷神社は京都の伏見稲荷を勧請して祭ったと伝えるものが多いが、愛知県豊川市妙厳寺の豊川稲荷を勧請したものもある。農村では坪などの小さな集落で五穀豊穣のために稲荷が祭られたが、鉄道の開通および駅の設置によって新たに商店街が形成した宝積寺や仁井田では、商売繁盛のために稲荷が祭られた。
 二月の最初の午の日は初午の祭りである。各家の屋敷に祀られるウジガミには、稲荷が祀られていることが多いので、栃木県では、初午にはウジガミに赤飯とシモツカレを供えて祝う。初午の起こりは、京都の伏見稲荷の祭神が稲荷山に下ったのが和銅四年(七一一)二月一一日で、その日が初午にあたるということから、稲荷の縁日になったという。京都の稲荷山では、平安時代から初午に稲荷祭りが行われている。