上阿久津の中妻にある与作稲荷は、豊作を与える稲荷という意味であり、次のような伝説がある。
昔、中阿久津の満願寺という寺があり、万蔵という寺男がいた。万蔵が氏家の勝山城に召使いとして働いたときに、万蔵が稲荷神を祭って信仰すると、万蔵の田だけは稲荷神のおかげで害虫の被害にあわず豊作になった。勝山城主の勝山太郎は、これを不審に思って万蔵を追い出した。後に太郎の息子が病気になったときに、娘の生き肝を取って、薬にしようと、万蔵の娘を殺して肝を取ったところ、白髪の老人が現れた。万蔵が娘を捜すと、娘は生きており、稲荷神のおかげだとわかる。太郎は心を改め、万蔵が祭っていた稲荷神を与作稲荷として祭った。