高根沢町では雷神のことをナルガミ(鳴神)といい、南那須町大字月次字鳴井の加茂神社の分霊を雷神として祭る集落がある。月次の加茂神社は鳴井さまと呼ばれるので、勧請して祭られた加茂神社も鳴井さまという。月次の加茂神社は、和銅四年(七一一)に山城国の賀茂神社から勧請されたと伝えられ、別雷神を祭る。境内に岩穴から湧き出す清水があり、旱魃でも枯れたことがないという。旱魃の時は、この清水を竹筒に入れて持ち帰り、雨が降ったように笹竹に降りかけたり、田の水口に注ぐと三日もなく雨が降るという。雨が降ったらお礼参りに行き、水を倍にして返したという。旧暦三月二五日(現在は五月の第三日曜日)の祭礼には、近隣の集落からボンテン(梵天)が奉納され、那須・塩谷・芳賀郡の雷電講の代参人が参詣する。
図28 加茂神社のお札(桑窪)
図29 加茂神社の神像(桑窪)