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大杉信仰

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 茨城県稲敷郡桜川村の阿波大杉神社は悪病除けとして信仰され、その分霊を各地に勧請して祭っている。高根沢町内には、宝積寺白鬚神社境内の大杉神社、花岡星宮神社境内の大杉神社、大谷高龗神社境内の大杉神社、上高根沢安住神社境内の大杉神社、上高根沢石沼の大杉神社、中柏崎の大杉神社、伏久星宮神社境内の大杉神社がある。
 大谷では、三月一七日・七月一七日・一一月一七日に大杉神社の御輿渡御を行い、お囃子の演奏がそれについて廻った。各坪には御仮屋が設けられて御輿が休んだ。大谷には大正一〇年「大杉神社覚書」がある(史料編Ⅲ近現代 五〇九頁)。中柏崎の大杉神社は天保九年(一八三八)に勧請した。祭りは、旧暦二月・四月・六月・八月・一〇月の二ケ月ごとの一七日であり、日待ちが行われた。二月一七日は初祭りで御輿を担いで各戸をまわり無病息災と五穀豊穣を祈願した。旧暦六月一七日は夏祭りで花屋台が出て夜店も出た。旧暦一〇月一七日は秋祭りで、甘酒をふるまい、大杉神社で奉納相撲を行った。現在では七月一七日が夏祭りだがその前後の土曜日に行っている。中柏崎・下柏崎の子供が屋台を引いて祭りを行う。宝積寺では、昭和四〇年ごろまでは、上・中・下の組ごとに、旧暦二月・六月・一〇月の一七日に大杉様の日待ちを行った。大杉様の御輿は組の家々を廻ったあとは川の中に入れて清めた。

図71 大杉様の御輿(中阿久津)


図72 阿波大杉神社の掛軸(中阿久津)


図73 大杉様のお面(宝積寺)