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十九夜講

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 十九夜講は女の人の出産や子育てを月の十九日に如意輪観音に祈願する講である。中阿久津の西組では、二月と一〇月の年二回の十九夜講に和讃を唱える(和讃は資料編参照)。当番の家に、十九夜・二十三夜・百観音・四国八十八箇所・延生地蔵の掛け軸を祀る。まず、組内の安全のために、
  ①十九夜和讃 ②延生地蔵和讃 ③浮島地蔵和讃 ④西国三十三番御詠歌 ⑤二十三夜和讃
  ⑥二十三夜御詠歌 ⑦四国八十八箇所御詠歌
を唱える。次に、当番となった当家のために、
  ⑧火伏せ除け ⑨厄神除け ⑩盗賊除け ⑪難問除け ⑫お茶の礼
というまじないの和讃を唱える。当家の事情によって、お産がある時は、
  ⑬お産念仏
を唱え、子どもが亡くなったり、忌日供養がある時は、
  ⑭賽の河原和讃 ⑮忌日供養念仏
を唱える。また、組内に葬式があった時は、
  ⑯十三仏念仏 ⑰融通念仏 ⑱善光寺御詠歌
を唱える。このように、村落の講で人々が集まって、和讃を唱えるということは、神仏に対して、村落の安全を祈願し、当家の災厄を除け、死者の追善を供養するという、人々のさまざまな願いを表している。和讃が仏の讃歌であるばかりでなく、祈願とまじないの役割もはたしている。

図87 十九夜講の本尊如意輪観音(桑窪)


図88 二十三夜講の本尊勢至菩薩(桑窪)


図89 十三仏(亀梨)