庚申の日の晩に一〇戸前後の組内で集まり庚申講を行う。庚申の日は年に六回あるが、現在では二回行うことが多い。庚申の晩は寝ると体の中の虫が出ていって天に昇り、人間の罪を告げるという。そこでこの日は寝ないで飲食するのだという。庚申の晩は講のヤドの家に掛け軸を掛けてうどんや赤飯の夕食を食べる。料理は肉や魚は使わない精進料理である。昭和初期には、各人が五〇銭ずつ持ち寄ってくじ引きをし、当たった人が集まったお金を持ち帰ることも行われた。中阿久津では、各班ごとに庚申講を行った。ヤドの家に集まりあんころ餅を作って供え、夜中の一二時に食べた。
図90 庚申講の本尊青面金剛(中阿久津)