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歳神棚・注連縄作り

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 歳神棚および注連縄作りは、松迎えと同じ二八日に行う家が多かった。歳神棚は歳神を迎え祭るものであり、また、歳神は本来祖霊ともいわれ、したがって歳神棚は、盆に作る盆棚と同じ役割を持つものである。
 歳神棚を作る場所は、茶の間、広間、座敷など様々であるが、多くは大神宮様を祭る部屋に作る。作る方角は、恵方、別名をあきの方ともいわれる、その年の良い方角に作ると良いとされる。恵方は暦に記され、毎年その方角は異なる。しかし、暦で恵方を確認するのが面倒からか、実際には毎年同じ方角に歳神棚を作る家が多い。
 歳神棚の形態は、図1のように四角形の棚の四方に荒縄をかけ、それを天井から吊るしたもので、前面の荒縄の上部には横木を渡し、そこに注連縄をかけ、中央にユズリハ、ミカンを取りつけ、両側には幣串を垂らしたものである。棚の上には重ね餅やお神酒などを供える。
 注連縄は新藁で作ったもので、一家の主人が風呂に入り身を清めてから行った。寺渡戸の山本家では、注連縄の藁を十字に結い、真中に松の枝とゴシン(御神)と称される御幣をはさんだものを二一本作る。これを門、アマヤ(納屋のこと)、蔵、屋敷神、井戸、便所、玄関、厩、勝手、風呂、床の間、納戸、歳神棚、大神宮様、恵比須・大黒様、お釜様、仏壇などに飾る。山本家では注連飾りの飾付けが終ると、夕食にケンチン汁に蕎麦を食べるならわしとなっている。
 こうした注連縄の他に、トビナワといって、藁の先だけをよじったものに松の小枝をさしたものを飾った家もある。

図1 歳神棚(大谷)


図2 ワラホウデンの正月飾り(伏久)


図3 井戸神様の正月飾り(大谷)