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ヤマイリ

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 農家にとって山(高根沢町では平地の雑木林も山と称している)は、薪やそだなど燃料ばかりでなく堆肥にする木の葉を取得する所でもあり大切な場所だった。山には山の神がいるとされ、ヤマイリ(山入り)はその年最初の山の神の祭りである。山入りは年男が行う。自分の持ち山に入り、ノデッポウ(ヌルデの木のこと)の幹に持参した幣束を縛りつけ、根本に半紙を敷き、その上に細かく刻んだ餅や米・大麦・小麦などを供えてから拝礼する。その後、ノデッポウの枝を切り取り持ち帰る。ノデッポウは、一四日に作る粟穂や稗穂、粥バシ、ハラミバシなどの材料とする。
 近くに山がない大谷では、田圃の土手の柳の木に幣串を縛りつけ、その根本に半紙を敷いて煮干、削り節、塩などを供え、これらの供物を烏に食べさせるためにカラスヨビ(烏呼び)を行った。帰宅した後、切ってきたノデッポウを燃やし湯を沸かしてからお茶を飲んだもので、このお茶を飲むと風邪をひかないといわれた。また、この日、角を取り除いた切り餅を焼き雑煮にして食べる家もあった。