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クワイリ

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 山入りに対して、その年最初の田畑の神の祭りをクワイリ(鍬入り)という。儀礼的に田畑に鍬を入れることから、そう呼ばれるようになったものである。
 家によって多少日取りが異なるが、高根沢町では一月一一日に行う家が多い。早朝、年男が細かく切った切り餅や米、大麦、小麦などを持って、まず山に入り、小枝を切取ってから自分所有の田畑に行く。この小枝に幣串を下げ、それを地面に突き刺し、その前を鍬で三畝うなう。その畝には、畝ごとに切り餅や米などを供える。拝礼の後、あきの方(恵方)を向いて「カラース カラース カラース」と烏呼びをする。畝に供えた供物は、手前よりそれぞれ早稲、中稲、晩稲に見たてたもので、烏がどの畝の供物をついばむかによってその年の当たり種を占ったのである。

図7 クワイリ(上高根沢)


図8 クワイリの供え物(上高根沢)