二月一〇日は天からタノカミサマ(田の神様)が転げ落ちてくるといって、団子を作って神棚に供えたり、餅を刺した竹を田の畦に突き刺した。上柏崎では臼の上に箕を置き、箕の中に餅を七重ね供えて田の神様を迎えた。一方、中阿久津では、この日をジジンサイといい、蛙が田に降りて来るので、団子を作って田に供えたという。
このように二月一〇日は、農作業開始の時期にあたって田の神、あるいは大地の神を迎える日であった。蛙は田の神、あるいは大地の神の使いとされている。栃木県内ではこの日をトウカンヤ(十日夜)、あるいはジジン様という所が多く、これらの神を迎えるために様々な儀礼が行われた。田の神様と呼んでいる所は、塩谷郡南部から芳賀郡北部の地域であり、この日茂木町北高岡にある田の神神社にお参りする者が多い。なお、二月一〇日にやって来た田の神様は、農作業を見守り収穫を確認して一〇月一〇日に帰るといわれる。