田植え終了の祝いをサナブリといい、田植えが終わることは、農家の人々にとって大きな喜びであった。
サナブリには、自家の田植えが終わったときに行う小サナブリと、大字全体の田植えが終わったときの大サナブリとがある。小サナブリには、餅をついて手伝ってもらった人に配り、または当日、田植えに使用した農具を洗ってまとめて納屋におさめお神酒をかけたり、苗を二束先を藁でしばり、盆や平膳にのせ神棚に祭り、お神酒や餅を供えたりしたものである。石末の赤堀では、アンコロモチを手伝ってくれた人に配った。なお、普段、苗は川に流すと雨が降るといわれ、川にはながすものではないといわれたが、小サナブリにつかった苗はそのまま川に流した。
一方、大サナブリは区長より「大サナブリになった」との連絡があり、大字全体で農休みにする。この日も餅をつき手伝ってくれた人に配る家もあった。
ところで、サナブリとは、田植えに招いた田の神(これを「サ」という)が、田植えの無事終了を見届けて天に昇る「サのぼり」からきた言葉といわれている。