七月一日は、カマノフタといい、地獄の釜のふたが開く日であるといわれ、盆行事の始まりの日である。「饅頭を作らないと盆はこない」といい、この日は取れたての小麦粉で炭酸饅頭を作った。中には饅頭は、氏神様、お釜様、大神宮様などには一重ねずつ、仏壇には五重ねを必ず午前中に供えるものだとする家もあった。
また、この日より提灯を掲げる。新盆の家では、この日ないしは七日にタカンドウロウ(高灯篭)を掲げた。高灯篭は、「ご先祖様が初めて家に戻る日で、道に迷わないように目印に屋根より高く立てる」ものだという。杉の丸太を支柱にして荒縄で百八つの結び目を作り、先に杉の葉をつけた三角形のものをつけ、そのところに灯篭を下げ、夜間は灯篭にロウソクをともした。