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十五夜・十三夜

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 旧暦八月一五日の月見の祝いを十五夜、九月一三日の月見の祝いを十三夜という。ともに縁側にチャブダイを出し、その上にススキを五本(十五夜)ないしは三本(十三夜)と柿や栗の実のついた枝をさした一升瓶を置き、傍らに大きめに丸めたダンゴを一五個(十五夜)ないしは一三個(十三夜)、里芋や大根・サツマイモなどの収穫物、赤飯、ケンチン汁などを供えて月見の祝いをする。中にはダンゴ以下の供え物を箕の中に置く家や軒の下に草刈り籠をふせ、その上に新藁を置きその上にススキ以下を供えるという家もある。また、十五夜の里芋やサツマイモなどは五の倍数、十三夜の場合は三の倍数供えるという家もある。
 十五夜・十三夜には、ブラクごとに小学六年生くらいを頭に子供たちが各家を巡り庭先でボウジボ打ちをする。ボウジボは、芋がらを芯にして新藁で包み解けないように荒縄で巻いたもので、穂先の方を二つに分けその先を結んでとってとしたものである。このとってを持ち、各家の庭先の地面を大きな声で唱えごとを発しながら打つものである。この唱えごとはブラクによって異なり、石末では「ボウジボ当たれ芯まで当たれ 三角バッタリ蕎麦当たれ」といい、大谷では「ボウジボ打つ ボウジボ当たれ 三角山の蕎麦当たれ」、宝積寺東町では「ボウジボ当たれ 三角畑の蕎麦当たれ バッタ蕎麦当たれ」といっている。各家では菓子や小銭をお礼に子供たちに与えた。なお、使い終ったボウジボは、果実がたくさんなるようにと柿木など成り物の木に吊るしたものである。
 十五夜の祝いをした場合は、必ず十三夜も行う。「片月見はよくない」といわれるからである。
 ところで、十五夜・十三夜は、一般には名月をめでる風習として知られるが、ボウジボ打ちの唱えごとからもわかるように、農村地帯では農作物の収穫を祝う行事となっている。

図22 十五夜の供え物(大谷)


図23 柿の木に稔りを願ってつるしたボウジボ(伏久)