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〔人の一生〕

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 人が誕生してから死を迎えるまでの過程においては、そのときどきで節目となる重要な時期があり、そこではさまざまな儀礼が行われてきた。そして、そうした儀礼のことを民俗学では「通過儀礼」とか「人生儀礼」と呼んでいる。
 人の一生で重要な節目といえば、誕生、成育、成人、結婚、死亡などをあげることができるが、こうした人生の段階を経ることによって、人は地域社会における役割を少しずつ変化させていき、その変化を社会に認知させ本人に自覚させるしるしのように儀礼が行われているのである。そのため、それぞれの通過儀礼を見ていくことによって、一人の人間がその年齢や立場によって地域社会においてどのような役割を期待されるようになるのか、また、人間の生や死を人々や社会がどのように考え受け入れているかなど、そこからはさまざまなことをかいま見ることができるのである。