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母子健康センター

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 昭和四〇年に開設された母子健康センターには、町内の助産婦一二人と医師三人が交替で勤務していた。助産婦にはそれぞれに個室が与えられ、担当の妊婦がくるとそこで診察をした。担当するのは、親の代から世話をしているような家の嫁で、ほとんどがおとくいさんだったという。センターでは月に二回医師による妊婦検診が行なわれ、助産婦もこれに立ち合った。妊婦に出血などの異常がないときには妊娠許可がだされ、そのままセンターで出産できたが、異常がある場合には病院に移って生むことになっていた。
 センターでの出産費用は四、五万円くらいで病院で生むより安かったため、宇都宮市の方から来る人もいたという。
 陣痛が始まるとセンターに入り、担当の助産婦が出産に立ち合ったが、このとき、自宅での出産同様に家から持ってきた十九夜様のロウソクをつける人がおり困ったという話もあった。産婦は出産後八日間はセンターで過ごしたが、センターには必要なものがすべてそろっており、その間の食事や洗濯の世話もしてくれた。なお、このセンターは昭和五八年に閉鎖された。

図3 母子健康センター(仁井田、平成5年)