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産湯

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 赤ん坊を産湯に入れるのは産婆の役目だった。出産が終ると畳をあげ、そこに盥を置いて赤ん坊を産湯に入れてきれいに洗った。このとき使用する盥は産婦が嫁入りのとき持参したもので、これは最初の子が生まれるまではしまっておいたが、その後は洗濯などに使ったという。
 出産から一週間は産婆がきて、産湯のときと同じ場所で赤ん坊をお湯に入れてくれたが、赤ん坊を入れた湯は、畳をあげたところから床下に捨てたり、家によっては縁の下や堆肥のあるところに捨てたという。