赤ん坊は母乳で育てるのが普通であったが、乳がでないときや足りないときにはオモユを与えた。これはご飯を炊いたときに上層にできるのり状のものに湯を注いだもので、他にごはんのつゆといって、米を冷やして粉にすったものを火にかけ、それに少し砂糖を入れ冷ましたものや、甘酒をこくしたもの、粉ミルクが普及する昭和三〇年代にはコンデンスミルクなどを乳の代わりに飲ませたという。また、近所で同じ時期に出産した人があると、その人に頼んで乳を飲ませてもらうチチモライ(乳もらい)をすることもあった。赤ん坊に歯が生えてきたら離乳食としてみそ汁をなめさせたり、おかゆやかぼちゃなどを柔らかく煮たものなど、消化のよいものを食べさせた。