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産婦の食事

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 産婦の食事は、出産後七日間はおかゆと梅干しが中心の食事だった。三日目くらいから干瓢のおつゆが飲め、七日を過ぎると実家の母が持ってきてくれた卵やイワシの缶詰、カツオ、濡らした新聞紙でくるんだ塩をイロリの中に入れて焼いた焼き塩、かつお節とみそをまぜたケズリッコなどを食べることができた。家によっては一週間を過ぎると妊婦も家の者と同じ食事を食べたという人もいた。
 また、乳の出がよくなるようにと、出産から三日目の朝には、姑が産婦にうるち米のご飯を炊いて小さく握ってあんこをつけたミッカメボタモチを作ってくれた。他に鯉を食べても乳の出がよくなるといい、鯉の腹に餅米を入れて干瓢で巻いて作る産婦への料理などもあった。
 産婦の食事については、出産後二一日目までは家族の食事とは別のカマドで炊く別火で作るものだといわれ、他にも次のような禁忌が言い伝えられている。
 
 ・肉類は食べてはいけない。
 ・油っぽいものは避けたほうがよい。
 ・産後四〇日間はかぼちゃを食べてはいけない。
 ・サバを食べると「三年後の病気を引き出す」といって食べてはいけない。
 ・甘いものは良くないといい、ボタモチは塩ボタモチを食べた。