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〔生育〕

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 「七歳までは神の子」という言葉があるように、乳幼児の死亡率が高かった時代においては、人々は誕生直後の赤ん坊の魂はとても不安定な状態であり、それをしっかりと体内に安定させていくことによってはじめて人間として健康に成長していくものだと信じられていた。そのため、特に子供の誕生直後から約一年の間には集中して、魂を体内に定着させる意味を持つ儀礼が何度も繰り返し行われている。
 こうした子供の生育に関わる儀礼は、子供の存在を神から人の世界へと少しずつ移行させていく役割を持つとともに、地域社会の新しい構成員として周囲に認知し受け入れられていく過程としても重要な意味を持っているということができる。