子供から大人の社会への仲間入りをするために行われる通過儀礼のことを成人儀礼といい、現在では男女とも二〇歳に行われる成人式がそれにあたっている。しかし、かつては成人となる節目の歳といえば男子は十五歳、女子は十三歳を区切りとして行われることが多く、その儀礼の内容も現在全国各地でみられる自治体が主催する式典形式の成人式と違い、若者組、娘組への加入や元服、鉄槳つけなど地域によってさまざまな形がとられていた。成人になるということは、それを境に地域社会において一人前として認知されることであり、大人としての労働力として数えられるばかりでなく、婚姻の対象としても認められるなど法制上の立場の変化というよりも実質的な社会での立場の変化をともなうものであった。