大日本帝国憲法下の戦前においては、徴兵令が施行されており、男子は満二〇歳になると徴兵検査を受けることが義務付けられ、お国のためになるということでこれが成人儀礼の一つとしてとらえられていた。
役場の兵事係から検査の知らせが届くと、高根沢町の場合は、隣り町である氏家町の小学校に集まって検査が行なわれた。検査では、身長・体重・胸囲の計測・胸部疾患の検査が行なわれ、それによって甲種・乙種第一・第二・丙種が決定した。甲種合格は町全体では三〇パーセント程で、その人たちが特に早く入隊していったというが、終戦間近で戦局が悪化してくると、検査もなく男ならだれでもといった状態で兵隊にとられたという。
かつては、この徴兵検査に合格すると、まわりからは一人前というような目でみられた。