当人同志のつながりがまず第一の前提となる今日の婚姻とは違い、かつての婚姻は、男女の結びつき以前に家と家との結びつきが重視されるというのが一般的な考え方であった。そのため婚姻にともなう習俗を見ると家同志の結びつきを強く意識した儀礼が多く存在している。
例えば、婚姻の契機が、家柄を重視した組み合わせによる見合いが一般的であったことや、結納にあたるタルイレで両家から持ち寄った酒を一つにし、それを両家で飲む儀礼、また嫁入りの際、嫁が婚家に入る時に行われるチョウチントッカエなどの入家儀礼などがそれである。