御祝儀の前日、あるいは当日の早朝に、嫁入り道具を嫁ぎ先へ運ぶ荷送りが行われた。このときには、嫁方の親族一人が荷に付き添っていった。荷物は人を頼んで荷車などで運ばれ、婚家では御祝儀に招待されている組の人達が手伝って荷を降ろして、そのままお披露目された。
お披露目は嫁入り道具を組の人など近所の人達に来てもらって披露することで、特に上等な着物を選んで衣文掛けにかけたり、箪笥や下駄箱の中を開けて中に入っているものも見せたりした。嫁の親は娘に恥ずかしい思いをさせないようにと、このお披露目のために無理をしてでも着物や履物で箪笥を一杯にしてくれたという。箪笥に入れる着物が足りなくて、姉のものを借りていったという思い出のある人もいた。
荷送りを頼んだ人には、お礼に口取りと引き物を渡した。引き物は、タイ・コシダカ・キントンなどを入れたササオリだった。